2018年度宅地建物取引士試験講評

2018年の宅建士試験の出題形式は、個数問題が3問(昨年度6問)、組み合わせ問題が1問(昨年度1)、単純正誤46問(昨年度43問)と比較的取り組みやすい構成になったと思います。
権利関係において、難しい問題(捨てるべき問題)と平易な問題(正解すべき問題)の差が大きいため、制限時間ギリギリになってしまった方も多いのではないでしょうか。
また、法改正についても多く問われた珍しい年でもあります。
合格点は、個数問題が減ったことも起因して、36点前後になると思われます。

民法等

停止条件の事例問題や、事務管理など、マイナーな論点についても問われ、難しく感じた方もいるかと思います。
一方、受験生を苦しめてきた条文問題や個数問題の出題もなく、借地借家法や区分所有法も平易な問題でした。判決文問題も予備知識ゼロから解ける「国語の問題」でした。
不法行為の「被害者からは」相殺ができる(問9肢3)、「専ら事業の用に供する」が「事業用定期借地権」にするとは言っていない(問11肢1)のような引っかけに乗らずにいられたかも合否に響いてきそうです。
マイナーな論点の問題が解けなかったことを引きずらず、一見難しそう・簡単そうな問題でも、問題の表現に惑わされず、粘っていければ、8点前後の得点は見込めると思われます。

宅建業法

前年よりも難易度は下がったと思います。
宅建業法の個数問題は、今年は3問出題され、前年より3問減少しました。組合せ問題は、前年は出題されませんでしたが、今年は1問出題され、単純正誤が16問出題されました。
最近の改正法を含む出題が多く(問27、31、33、34、39)、正解するには改正法の知識が必要な問題もありました。
また、報酬から2問出題され、問30では2肢、問31では全肢計算が必要な問題でした。
全体的に、過去問を中心に勉強し、さらに、改正法対策をしていれば、十分高得点が可能な出題と思われます。
以上より、できれば18点、改正法でつまづいたり計算ミスをしても16点は得点しておきたいところです。

法令上の制限

出題数は例年どおりに組まれており、難易度は基本的で平易なものが多かったと思います。改正点についての出題も都市計画法と建築基準法でありましたが、今年に限っては知らなくても正解はできる問題でした。今年の法令上の制限は得点源になったことと思います。
細かくみていくと、問16肢4、問17肢4、問18肢3、問19肢2、問20肢4はいずれも正解肢となっていますが、過去5年以内に問われたことのある内容やその改変です。なお、問22肢1も市販されている過去問題集には収録されている年度の出題です。
また、問21は過去問の知識から消去法で正解にたどり着くべき問題です。
そして問15の肢1、肢4は今年初出題の肢となりますが、宅建士受験生の感覚ならば、正解できたと思います。
したがって、法令上の制限では、6点以上は得点しておきたいところです。

税・その他関連知識

今年の税法は、登録免許税と不動産取得税から出題がありました。不動産取得税は基礎中の基礎が正解肢であったため、ものの数秒で解答できた方も多いと思います。
一方、登録免許税は、ノーマークだった方はやや難ありといったところでしょう。登録免許税の平成21年過去問の解説をしっかり読んでいた方にとっては、簡単な問題だったと思います。
免除科目の問47肢1は、初出題の肢でしたが最近ニュースをヒントに正誤判断はできたと思います。残りの4問は、ほぼ例年どおりといえるものでした。
したがって、税・その他では、6点以上は得点しておきたい内容といえるでしょう。

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