民法 – 借地借家法(2) - 借家権 -【5分で1点UP】

前回の記事に引き続き、借地借家法について解説していきます。

建物を借りている借家人の権利を借家権といいますが、借地借家法には借家人を保護するという観点から、更新、造作買取請求権などについてさまざまな規定が定められています。

借家権の存続期間と更新・解約のルール

借家権の存続期間には上限はないので、何年と定めてもかまいませんが、1年未満の期間を定めた場合には、期間の定めのない賃貸借契約とみなされます(定期建物賃貸借を除く)。

期間満了と同時に明渡しを求めるには、家主または借家人のどちらかが、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に更新拒絶の通知をしなければ従前と同一条件で更新したものとみなされます。借地の場合と同じく、家主から更新拒絶する場合には正当事由が必要になります。賃貸借終了後、借家人が使用を継続し、家主が異議を述べなければ借家契約は更新されることも借地権と同じです。

期間の定めのない賃貸借は、家主または借家人がいつでも解約の申入れをすることができますが、家主から解約をする場合、正当事由と6ヶ月の猶予期間が必要とされています。反対に、借家人からの解約申入れの猶予期間は3ヶ月と短く、正当事由も不要です。

造作買取請求権とは?

造作買取請求権とは、たとえば、家屋を借りている借家人が家主の承諾を得てエアコンを取り付けた場合、借家契約が期間満了または解約申入れによって終了するときに、家主に対して取り付けたエアコンを時価で買い取るよう請求することができる権利のことをいいます。

なお、造作買取請求を排除する特約は、借家人に不利ともいえますが、造作買取請求を認めない特約は有効とされています。この特約は定期建物賃貸借契約においても認められます。

過去問(H24-12-1改)

普通建物賃貸借契約でも、定期建物賃貸借契約でも、賃借人が造作買取請求権を行使できない旨の特約は、有効である。

定期建物賃貸借とは?

更新がない借家権のことを定期建物賃貸借といいます。定期建物賃貸借の利用目的について制限はありません。定期建物賃貸借契約をする場合、期間を定めることが必要ですが、この期間は1年未満でもかまいません。普通の借家権が、1年未満の期間を決めた場合には、期間の定めのない賃貸借契約とみなされたことと比較してください。

過去問(H20-14-2)

公正証書によって定期建物賃貸借契約を締結するときは、賃貸人は、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借は終了することについて、あらかじめ、その旨を記載した書面を交付して説明する必要はない。

また、定期建物賃貸借契約は書面によってしなければならず、家主は、契約締結にあたって更新がなく、一定期間が経てば借家契約が終わる旨を記載した書面を使って説明をする必要があります。この書面を使った説明がない場合、更新がない旨の特約は無効となります。借家契約全体が無効となるのではないので注意してください。