民法 – 借地借家法(1) -借地権- 【5分で1点UP】

借地借家法は、毎年2問出題されている重要な部分です。一般的に、土地や建物の貸し借りをする場合、貸す者は強く、借りる者は弱い立場に置かれます。このことから、借地借家法には、借り手の保護を重視してさまざまな規定が定められています。

過去問(H21-11-4)

借地権の当初の存続期間が満了し借地契約を更新する場合において、当事者間でその期間を更新の日から10年と定めたときは、その定めは効力を生じず、更新後の存続期間は更新の日から20年となる。

借地借家法の規定よりも借り手に不利な特約を認めてしまうと、借り手保護という借地借家法の目的が達成できなくなってしまいますので、期間や更新など一定の借地借家法の定めよりも借り手に不利な特約は無効とされています。

借地権とは?借地権の存続期間は?

借地権とは、建物所有を目的とする地上権と賃借権のことをいいます。臨時使用など一時使用のために設定されることが明らかである場合には、借地借家法は適用されません。

過去問(H20-13-1)

Aが所有している甲土地を平置きの駐車場用地として利用しようとするBに貸す場合と、一時使用目的ではなく建物所有目的を有するCに貸す場合、AB間の土地賃貸借契約の期間は、AB間で60年と合意すればそのとおり有効であるのに対して、AC間の土地賃貸借契約の期間は、50年が上限である。

借地権の存続期間は30年ですが、当事者がこれより長い期間を定めたときはその期間となります。また、30年より短い期間を定めたとしても30年に伸長されます。ここは、民法の賃借権が最長20年までであることと比較して覚えておきましょう。よく出題される部分です。

借地権の存続期間
30年以上の期間を定めたとき定めた期間
30年未満の期間を定めたとき30年

借地権の更新 - 更新後の存続期間はどうなる?

借り手は、借地権の存続期間が満了するとき契約の更新を地主に請求することができます。借り手の請求によって借地契約が更新される場合、更新後の存続期間は、初回の更新の場合は更新の日から20年、2度目以降の場合は更新の日から10年になります。いずれも、当事者がこれよりも長い期間を定めればその期間になりますが、これより短い期間を定めた場合、その期間は、初回の更新の場合は20年、2度目以降の更新の場合は10年に伸長されます。

地主は、請求に対して遅滞なく異議を述べれば更新を拒絶することができますが、異議を述べるには正当事由が必要です。正当事由があるかどうかは、地主および借地権者の双方が土地の使用を必要とする事情、借地に関する従前の経過、土地の利用状況、地主が土地の明渡しと引換えに支払うべきものがあるかなど、様々な事情を総合的に考慮して判断されます。

また、借地権の存続期間満了後に借り手が土地の使用を継続している場合でも、地主側の正当事由ある異議がない場合は、借地契約は自動的に更新されます。この場合の存続期間も初回の更新が20年、2度目以降の更新が10年となります。

更新後の借地権の存続期間
最初の更新20年
2回目以降の更新10年

※表の期間より長い期間を定めた場合は定めた期間となり、表の期間より短い期間を定めた場合は、表の期間となります。