宅建業法 - 宅地建物取引業とは?【5分で1点UP】

宅建業法という法律の目的は、一般消費者を保護することにあります。宅建業法全体を学習する上で、「宅建業法は一般消費者を守るために、宅建業者の業務に様々な規制を定めている法律である。」ということを頭に入れておくだけで理解が早まると思いますし、試験対策としても十分でしょう。

宅地建物取引業とは、宅地や建物の取引を業として行うことをいい、宅地建物取引業を営むのであれば免許が必要になります。この法律が定める「宅地」「建物」「取引」「業」とは、それぞれどのようなものを指すのでしょうか。

宅建業法上の「宅地」とは?「建物」とは?

宅建業法上の「宅地」とは、現在建物がある土地現在建物は建っていないが、建物を建てる目的で取引する土地、または、用途地域内の土地のことをいいます。

登記簿上の土地の地目とは関係がなく、現況が基準となりますので、登記簿上の地目が田や畑などであっても、現在建物が建っている土地であれば「宅地」にあたります。

宅建業法上の「建物」ですが、一戸建ての家に限らず、マンションの一室のような専有部分も「建物」にあたります。また、住居に限らず、事務所や店舗、倉庫や工場も「建物」にあたります。

宅建業法上の「取引」 免許が必要な場合は?

過去問(H22-26-2)

他人の所有する複数の建物を借り上げ、その建物を自ら貸主として不特定多数の者に反復継続して転貸する場合は、免許が必要となるが、自ら所有する建物を貸借する場合は、免許を必要としない。

答え:宅建過去問答え
「自ら当事者」となって建物を「貸借」する行為は、宅地建物取引業に該当しません。これは、転貸であっても同様です。これらの場合は、免許を必要としません。

宅建業法上の取引とは、「自ら当事者」として宅地建物を「売買」「交換」すること、人と人との契約を「代理」して宅地建物を「売買」「交換」「貸借」すること、人と人との契約を「媒介」して宅地建物を「売買」「交換」「貸借」することの8つをいいます。「自ら当事者」として宅地建物の「貸借」を行うことは取引に該当しません。

「自ら当事者」とは、業者自らが契約の当事者となる場合です。「代理」「媒介」は、業者が他人間を取り持つ形でかかわることで、契約を結ぶ権限がある場合を「代理」、契約を結ぶ権限がなく、契約は当事者同士ですることを「媒介」といいます。そして、契約の種類には、売買契約、交換契約、賃貸借契約があります。

文章で読むと頭がごちゃごちゃしてくると思いますので、下記のまとめの表をご覧ください。取引に該当する部分は○、そうでない部分は×になっています。(例えば、表の左上の「自ら当事者となって」「宅地建物の売買」をする場合は取引に該当するため○。)

《宅建業法上の「取引」》
種類/態様自ら当事者代理媒介
宅地建物の売買
宅地建物の交換
宅地建物の貸借

「自ら当事者」として宅地建物の「貸借」を行うことは取引に該当しないため、免許はいりません。貸しビル業や貸し駐車場、貸しマンション経営などは取引にあたらず、免許はいらないことになります。さらに、自ら転貸借をすることも取引には含まれませんし、マンションの管理をすることも取引には含まれません。ここは平成17年から平成25年まで毎年、本試験で出題されています。

宅建業法上の「業」とは?

「業」とは、不特定多数の人を相手に、反復または継続して行うことをいいます。対象が多数であっても、対象が特定されていれば「業」には該当しません。

本試験に出題された事例を挙げると、「従業員の福利厚生事業の一環として自社の工場跡地を区画割し、宅地として、その従業員のみを対象に反復継続して売却すること」(S63-35-4)は、一定の範囲内の人に特定されているため、業には該当しませんが、「借金の返済に充てるため自己所有の宅地を10区画に区画割りして、多数のBの知人又は友人に対して売却すること」(H9-31-2)は、対象が特定されているとはいえないため、業に該当し、免許が必要になります。