宅建業法 - 報酬額の制限(2)【5分で1点UP】

前回の記事に引き続き、報酬額の計算について説明してきます。報酬額の計算の攻略は、まず、速算法を暗記し、過去問などの計算問題を繰り返し解くことに尽きます。

売買契約を代理した場合の報酬額の計算 - 速算法 -

過去問(H18-43ア改)

宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は、BからB所有の宅地の売却について代理の依頼を受け、Cを買主として代金3,000万円で売買契約を成立させた。その際、Bから報酬として、126万円を受領した。この場合、宅地建物取引業法の規定に違反する。なお、この場合の取引の関係者は、A、B及びCのみとする。

答え:宅建過去問答え
違反しない。速算法を使って計算します。物件価額が3,000万円であるから、3,000万円×3%+6万円=96万円。代理の場合には、その倍額を限度として依頼者から受け取れるので96万円×2=192万円。Aは課税事業者であるので、192万円に消費税分を乗せた額(192万円×1.08)の207万3,600円がBから受領できる限度額になります。

売買契約を代理した場合に受領できる報酬の限度額は、媒介の場合の2倍になります。

例えば、業者が売主から1,000万円の宅地建物の売却の代理の依頼を受けた場合、いくらまで報酬を受領できるでしょうか。速算法を使って計算してみましょう。

《速算法》
宅地・建物の代金計算式
200万円以下の場合代金×5%
200万円超~400万円以下の場合代金×4%+2万円
400万円超の場合代金×3%+6万円

前回の復習になりますが、速算法で出した金額が、業者が当事者の一方から受領することができる媒介報酬の限度額ですので、まず、媒介報酬の限度額を計算します。

1,000万円×3%+6万円=36万円

媒介報酬の限度額の2倍が代理でもらえる報酬の限度額ですので、この例では、業者は売主から36万円の2倍である72万円まで受領することができます。

賃借の場合の報酬額の計算

過去問(H23-40-1改)

宅地建物取引業者A社(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の代理の依頼を受け、宅地建物取引業者C社(消費税課税事業者)は借主Dから媒介の依頼を受け、BとDの間で賃貸借契約を成立させた。1か月分の借賃は10万円である。建物を住居として貸借する場合、C社は、Dから承諾を得ているときを除き、54,000円を超える報酬をDから受領することはできない。

答え:宅建過去問答え
居住用建物の貸借の媒介における報酬は、原則として、借賃の2分の1か月分を依頼者の一方から受領できます。ただし、依頼者の承諾を得ている場合には、依頼者の一方から借賃の1か月分を受領することも可能です。したがって、C社は、Dから承諾を得ているときを除き、54,000円(借賃の2分の1か月分に消費税が乗った額)を超える報酬をDから受領することはできない。

賃借の場合、原則として賃料をもとに報酬額を計算します。

媒介の場合、業者が依頼者の双方から受け取ることのできる報酬額の合計は、賃料の1か月分となります。原則として、貸主と借主からもらえる内訳には制限はありません。ただし、居住用建物の媒介の場合は、依頼者の承諾を得ている場合を除き、依頼者の一方からもらえる報酬は賃料の2分の1までとする制限があります。

賃借の代理の場合、依頼者は、貸主か借主のどちらかから家賃の1ヵ月分を限度として報酬を受領できます。