民法 - 代理(1)顕名(けんめい)とは?【5分で1点UP】

代理は、宅建試験では頻出の重要な論点です。代理は大きく、通常の代理と無権代理(表見代理)の2つの論点に分かれていますので、それぞれしっかりと押さえていきましょう。

代理とは

代理とは、代理人が本人のために意思表示をする(意思表示を受ける)ことで、法律行為の効果を本人に直接帰属させる制度です。

例えば、Aさんが所有する不動産を売却したい時に、不動産業者BにCさんへの不動産の売却を任せるようなことをいいます。そして、不動産業者BがAさんの代理としてCさんへ不動産を売却すると、AさんがCさんに直接不動産を売却したことになります。

代理行為

代理の問題の多くは、代理人の行為によって効果を受ける本人、契約の相手方、そして、代理人という3名の登場人物が登場します。問題を解く際には、まず、この登場人物を問題用紙に書き、それぞれの関係性と問題となっている部分を丁寧に把握することが大切です。

任意代理と法定代理の違いとは

代理には任意代理と法定代理があります。上記の例のようにAさんが不動産業者Bに不動産の売却を依頼するような場合を任意代理といい、本人の意思に基づかず、法律の規定によって代理権が発生する場合を法定代理といいます。例えば、未成年者の保護者である親権者は法定代理人ですが、この親権者が行う代理行為をいいます。

代理行為の有効要件 - 顕名(けんめい)とは?

過去問(H22-2-1)

Bが自らを「売主Aの代理人B」ではなく、「売主B」と表示して、買主Cとの間で売買契約を締結した場合には、Bは売主Aの代理人として契約しているとCが知っていても、売買契約はBC間に成立する。

答え:宅建過去問答え
原則として、代理人が本人のために行っていることを示さずにした契約の効力は、本人に帰属しません。しかし、相手方が、代理人が本人のためにしていることを知っていたか、又は、知ることができた時は、本人に帰属します。本問のように、買主Cが、BはAの代理人であると知っていたのであれば、売買契約はAC間に成立します。

代理行為が本人に有効に帰属するためには、第一に代理人に代理権が与えられていること、次に、代理人が相手方に対して、代理行為をすることが必要です。

そして、この代理行為をするにあたり、代理人は相手方に対して本人のためにすることを示す必要があります。これを顕名(けんめい)といいます。

上記の例で言えば、不動産業者BはCさんに対して、Aさんの代理人であることを示さなければいけません。

顕名について

顕名をしなかったときは、原則としてAさんに効果は生じず、不動産業者Bが自分自身のために契約をしたものと扱われ、不動産業者BとCさんの間に契約の効力が生じてしまいます。

ですが、顕名がなかったとしても、Cさんが、不動産業者BがAさんの代理人であり、Aさんのために契約をしていることを知っていた場合、またはそれを知りうる状態であった場合には、AさんとCさんとの間に契約の効力が生じます。