第6回 権利関係 ~抵当権・相続・代理 過去問分析~

前回から過去問は進みましたでしょうか。
そろそろ過去問3週目、4週目に入り自分の苦手なところが明確になってくる頃の人も多いかと思います。
そんな時期のためのプチ過去問研究会といきましょうか。

「抵当権の攻略」

出題ランキング3位は「抵当権」です。
難しいところですが良く出題される以上落とすと合格が遠のきます。

まずは問題を見てみましょう。

平成18年 問5 肢3
Bの抵当権設定後、Cの抵当権設定前に甲土地上に乙建物が建築され、Cが抵当権を実行した場合には、乙建物について法定地上権が成立する。

選択肢がシンプルです。すんなり読めますね。
では、もうひとつ。

平成21年 問7 肢2
更地である土地の抵当権者が抵当権設定後に地上建物が建築されることを承認した場合であっても、土地の抵当権設定時に土地と所有者を同じくする地上建物が存在していない以上、地上建物について法定地上権は成立しない。

問題分が少し呪文のようになりましたね。
でもよく見てみると・・・
どちらも「最初の抵当権が設定されたときには建物が建っていない」と言いたいらしい。

そこで、法定地上権は「土地上に建物が存在し、その所有者が同じ場合に、抵当権が設定されその実行により所有者が別々の人になったときに成立するもの」と、思い出す。

なるほど。「土地の上に建物が存在していること」が要件か。
そうすると。どちらも建物がないので、成立しないですね。
ただ、選択肢の最後が、ちょっとだけ違います。
平成18年の選択肢は「成立する」なので誤り・・・・・・バツ!
平成21年の選択肢は「成立しない」なので正しい・・・・マル!
読んでからすぐわかったと油断すると、こんなところを見落としたりするのが本番です。
最後まで気を抜かずに。

「相続の攻略」

同じく出題ランキング3位の「相続」です。
ここでは勉強したほうがよい項目のアドバイスになります。
まずは、肢を項目別に並べてみましょう。

相続の攻略つぎに、アルファベットが表す分野と肢の数です。
A(13)・・・遺言
B( 8 )・・・法定相続分(相続分の計算、相続人の範囲等)
C( 8 )・・・遺留分
D( 4 )・・・限定承認・単純承認
E(11)・・・その他

その他の項目からの出題、意外と多いです。
全部勉強しなきゃ・・・と思った方、いったん過去問の解答を見てください。
23年は肢4、18年は肢2、16年は肢3が正解肢となっています。
最終的な判断は各々にお任せになりますが、そんなに焦らなくても大丈夫、と思えてきませんか?

「代理の攻略」

出題ランキング6位は「代理」です。
6位といっても上3つが同順位なので、出題数的には4番目です。
こちらも早速問題からいきましょう。

平成22年 問2 肢4
Bが売主Aの代理人であると同時に買主Dの代理人としてAD間で売買契約を締結しても、あらかじめ、A及びDの承諾を受けていれば、この売買契約は有効である。
平成24年 問2 肢3
不動産の売買契約に関して、同一人物が売主及び買主の双方の代理人となった場合であっても、売主及び買主の双方があらかじめ承諾をしているときには、当該売買契約の効果は両当事者に有効に帰属する。

平成22年の問題の前提は、A所有の土地を売買する代理権をBに与えています。
はい。見事なまでに同じです。使っている単語がかわっただけです。
正解は・・・マルです。
ちなみにですが、平成23年は代理の問題が出ていないので、連続してここまで同じ文章が並ぶこともあるのです。

ではこの前の年も覗いてみましょう。
念のためです。念のため。

平成21年 問2 肢4
Bは、Aに損失が発生しないのであれば、Aの意向にかかわらず、買主Fの代理人にもなって、売買契約を締結することができる。
平成20年 問3 肢2
Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合、AがCの代理人となってBC間の売買契約を締結したときは、Cは甲土地の所有権を当然に取得する。

2年連続で代理の問題が出てきたのに、この選択肢が混ざっています。
正解は、どちらもバツです。
合格点が低い年=試験が難しい年と考えるなら、平成20年、21年は中ランク以上に位置しています。
難しくなってきているとはいえ、こういう使いまわしは多いです。

民法のまとめと次回に向けて

民法の頻出分野になると、似たような選択肢は転がってきます。
ほぼ毎年出題するとなると構成にも限度はありますからね。
当日は無駄な装飾語に惑わされないで、「結局何が言いたいの?」と問題文に問いかけてみましょう。

次回は借地借家法のポイントです。ここも皆勤賞の分野なので、受かりたいなら全力で!